データ取得日: 2026-07-04
地図: 国土地理院(淡色)。●が対象地点。各災害のレイヤー付き地図は該当章に掲載。
地図: 国土地理院(地理院タイル 淡色)。●が対象地点。出典: 国土地理院・重ねるハザードマップ。 上のボタンで公式ハザードレイヤー(洪水/高潮/津波/土砂・想定最大規模)を切り替え、拡大・移動できます。印刷・PDFでは該当する災害の章にレイヤー付き地図が入ります。
総合判定
水害(洪水)— 深さ・引くまでの時間・家屋倒壊
公式ハザードレイヤー「洪水」(想定最大規模)。●が対象地点。
出典: 国土地理院・重ねるハザードマップ。
雨の規模が変わっても、この地点の想定は同じ 0.5〜3.0m未満 です。2枚は同じ場所の別々の想定なので、色のつく範囲を見比べてみてください。
一方、火災保険の水災補償の保険料は年2万円前後が目安です。ただし 「一度で3,301万円」と「年2万円」はそのままでは比べられません。そこで、浸水の規模ごとの被害額に発生確率を掛けて年あたりに直すと、この地点の水害リスクは年 11.2万円〜33.0万円 相当になります(計画規模の浸水想定もあるため、その分を含みます)。年あたりに直した被害の期待値が、水災補償の保険料の目安(年2万円前後)を上回ります。保険料に対して割に合う側の地点です。あわせて家財の水災補償(建物とは別特約)の有無も確認してください。
前提: 延床面積 110㎡・1世帯・自動車1台あり/床の高さは地盤面から45cm(標準的な戸建て)と仮定/地盤勾配は微地形区分「干拓地」から勾配Aと推定/家屋の評価額は東京都の1㎡あたり319.3千円/浸水深は判定の想定(50〜300cm)の下限と上限で計算
高潮 — 台風のときの海からの水
公式ハザードレイヤー「高潮」(想定最大規模)。●が対象地点。
出典: 国土地理院・重ねるハザードマップ。
地震 — 揺れの確率と地盤の増幅
出典: 防災科学技術研究所 J-SHIS「メッシュ別被害地震検索」(2024年版・平均ケース)。 上の「30年以内に震度◯以上」はすべての地震を足し合わせた地点の確率で、この表は個々の地震(活断層・南海トラフ等の海溝型)が起きた場合のシナリオです。 発生確率が小さくても、起きたときの揺れは表のとおりになります。
出典: 東京都都市整備局「地震に関する地域危険度測定調査(第9回)」(令和4年9月公表)・CC BY 4.0。国の250mメッシュより細かい、都独自の実調査(相対評価)です。
液状化 — 地面そのものが揺れに弱いか
土砂災害・津波
土地の生い立ちと標高 — リスクの「根っこ」
- この地点の標高は0.8mです。半径500m以内の土地は-2〜5.8mの範囲にあり、最も低いのは北東の方向——水はそちらへ流れます。
- この地点より5m高い土地は、西へ2,740m(徒歩およそ34分)が最寄りです。現地に立っても分からない情報ですが、徒歩で逃げられるかはここで決まります。
- 半径3kmまで見ると、この地点より10m以上高い方向はひとつもありません(標高-2.8〜14.9m)。どの方向にも高い土地がないため、水は溜まらず広がります。ただし近くに逃げ込める高台もない、ということでもあります。
出典: 国土地理院 数値標高モデル(5mメッシュ)
同じ地点の空中写真を年代順に並べたものです(出典: 国土地理院タイル)。丸印はすべての写真で同じ地点を指しています。
- 黒っぽく蛇行した帯は旧河道です。地盤がやわらかく、液状化が起きやすいことがあります。
- 小さな長方形が規則正しく並んでいるのは水田です。低く水を集めやすい土地を、あとから埋めて宅地にしています。
- あとの年代の写真にだけ直線的な海岸線が現れる場合、その一帯は埋立地です。
- 周囲が先に市街化していてこの区画だけ遅れている場合、そこは建てにくい土地だった可能性があります。
避難 — 「逃げ込む場所」と「生活する場所」
洪水に対応する指定緊急避難場所(国土地理院データ・対応災害: 洪水・高潮・内水)。距離は直線・徒歩80m/分の目安。自治体独自の指定が未収載の場合があるため、墨田区の避難所一覧でも必ずご確認ください。
出典: 国土地理院「指定避難所データ」。住まいで暮らせなくなったときに滞在する施設で、洪水時に開設されるとは限りません。距離は直線・徒歩80m/分の目安。
この家に住むなら — 備えの優先順位
- 地震保険は国の制度なので、保険会社によって保険料が変わりません。都道府県と建物の構造だけで決まります。東京都の公表料率は、保険金額1,000万円・1年あたり、イ構造(鉄骨・鉄筋コンクリート等)で27,500円、ロ構造(主に木造)で41,100円です。
- 地震保険の保険金額は火災保険金額の30〜50%と決まっています。上限の50%で見ると、この建物の地震保険金額はおよそ1,760万円。年間保険料は、鉄骨・RC造なら約48,400円、木造なら約72,300円になります。この建物がどちらかは、このレポートでは分かりません——売主への質問に入れてあります。
- 家財は建物とは別契約で、上限1,000万円です。上限まで付けた場合の年間保険料は約27,500円〜41,100円(構造による)。この地点で特に効いてくるのは、液状化による建物被害を補償するのは地震保険だけだからです。
- 昭和56年6月1日以降に新築された建物なら建築年割引(10%)が使え、建物の保険料は約43,600円〜65,100円まで下がります。耐震等級を取得していれば10/30/50%、免震建築物なら50%の割引もあります。これらは自動では適用されず、証明書を出して申告するものです。
- 一方、火災保険の水災補償には公表料率がありません。各社が独自に決めており、建物の条件でも変わるため、この金額は計算では出せません。目安は年2万円前後——桁として受け取り、実額は見積もりを取ってください。
出典: 財務省「地震保険の基本料率(令和4年10月1日以降保険始期の地震保険契約)」。地震保険料は財務省が公表する基本料率に、この建物の評価額から算出した保険金額を当てはめた概算です。実際の保険料は保険金額の設定・契約期間・割引の適用状況によって変わります。加入・非加入を推奨するものではなく、契約の判断は保険会社・ファイナンシャルプランナー等の専門家にご相談ください。
内見・購入前チェック(この物件で聞くこと・見ること)
- 重要事項説明で水害ハザードマップの説明(2020年から義務化)を受け、内容がこのレポートと一致するか確認する
- 基礎の高さ・かさ上げの有無を見る(浸水の想定がある土地では床の高さがそのまま被害の差になる)
- 電気設備・給湯器・室外機の設置位置(地面置きか、高い位置か)を確認する
- 役所(墨田区)で過去の浸水履歴・災害履歴を確認する
- 地盤調査報告書の開示を求める(戸建て・注文住宅なら必須)
- 液状化対策(杭基礎・地盤改良)の有無と内容を確認する
- 建物が新耐震基準(1981年以降)か、できれば耐震等級を確認する
- 火災保険(水災あり)+地震保険の見積りを購入判断の前に取る
- マンションなら電気室・受水槽の位置(地下だと浸水時に長期停電・断水のおそれ)と管理組合の防災計画を確認する
- 避難経路を実際に歩く(夜・雨の日を想像しながら)
下の文面は、そのまま売主・仲介に送れるように書いてあります。この物件の判定に該当した項目だけを入れているので、 定型文ではなく「この物件について聞いている」ことが伝わります。各項目のあとに、なぜ聞くのかを添えています(送る文面には入りません)。
- 2020年8月から、宅地建物取引業者にはハザードマップでの物件所在地の説明が義務づけられています。市町村が配布する地図そのものを見せてもらうのが正しい確認方法です。
- 想定浸水深は0.5〜3.0m未満です。床の高さがそのまま被害額の差になるうえ、火災保険の水災補償は「床上浸水または地盤面から45cm超」が支払要件になっていることが一般的です。
- これらが低い位置にあると、浸水深が浅くても復旧に時間と費用がかかります。設置し直せるかどうかも購入後の判断材料になります。
- ハザードマップは想定であって履歴ではありません。実際に起きたことは売主・近隣・自治体しか知らないので、直接聞く以外に方法がありません。
- 浸水が長引く地点では、逃げるだけでなく「引くまで在宅で過ごせるか」が問題になります。上階に生活機能があるかどうかで、備えの計画がまったく変わります。
- 液状化しやすい地盤では、建物が傾く被害が起こりえます。地盤調査報告書は新築時に作成されていることが多く、売主が保管しています。液状化による建物被害を補償するのは地震保険だけです。
- この地点は30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が83.2%と高い地域です。1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物が新耐震基準に適合しています。
- 売主には知っている不具合を告げる義務があります。書面で聞いておくこと自体が、後から問題が出たときの拠り所になります。
この物件の判定に該当した項目から作成しています。法的助言ではなく、売主にすべてへの回答義務があるわけでもありませんが、書面で聞いておくこと自体に意味があります。
この物件は、災害の軸ではどうか
- 浸水想定(0.5〜3.0m未満)があります。ただしこれは保険と備えと避難計画で扱える種類のリスクです。
- 液状化の可能性が高い地盤です。建物の傾きや地下埋設物の被害が起きうる場所です。
- 30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が83.2%と、全国的に見ても高い地域です。
- 火災保険に水災補償を付けられること。建物だけでなく家財の水災補償も別途必要です。
- 2階以上があり、想定浸水深より高い場所に避難できること。平屋・1階部分だけの住戸では条件を満たしません。
- 電気設備・給湯器・エアコン室外機が、想定浸水深より高い位置にあること(または上げられること)。
- 水が引くまで1日〜3日未満かかる想定です。その日数を在宅で過ごせる備蓄(水・食料・携帯トイレ・電源)を2階以上に置けること。
- 地盤調査報告書を受け取り、杭基礎や地盤改良の有無と内容を確認できること。液状化被害を補償するのは地震保険だけなので、その加入も前提になります。
- 建物が1981年6月以降の新耐震基準を満たしていること。できれば耐震等級まで確認してください。
この判断は災害の軸だけのものです。価格の妥当性・立地の利便性・建物の状態(構造・築年・基礎の高さ・劣化)は、このレポートでは分かりません。それらは不動産会社・建築士・ホームインスペクションの領域です。
出典・このレポートの読み方
- 浸水想定(想定最大規模/計画規模)・浸水継続時間・家屋倒壊等氾濫想定区域・土砂・津波・高潮・内水浸水想定(掲載自治体分): ハザードマップポータルサイト「重ねるハザードマップ」(国土交通省・国土地理院)。計画規模は国管理河川の統合版と都道府県管理河川のうち、深い想定を採用しています。
- 地震発生確率・微地形区分・地盤増幅率: J-SHIS 地震ハザードステーション(防災科学技術研究所、確率論的地震動予測地図 2024年版)
- 震源断層の名称・規模・発生確率と予測震度: J-SHIS「メッシュ別被害地震検索」(防災科学技術研究所、2024年版・平均ケース)
- 時系列の空中写真: 国土地理院タイル(1936〜1942年頃/1945〜1950年/1961〜1969年/最新)。地理院タイル利用規約に従い出典明示のうえ利用
- 地震保険の年間保険料: 財務省「地震保険の基本料率」(令和4年10月1日以降保険始期の契約に適用)。水災補償は各社独自で公表料率がないため、金額は算出していません
- 想定被害額の概算: 国土交通省「治水経済調査マニュアル(案)」(令和2年4月改定)の算定式・浸水深別被害率、および別冊「各種資産評価単価及びデフレーター」(令和6年6月改正)の家屋・家庭用品評価額
- 標高: 国土地理院 標高API/位置検索: 国土地理院 住所検索API
- 指定緊急避難場所: 国土地理院「指定緊急避難場所データ」(市区町村の指定に基づく)
- 液状化の可能性: 微地形区分に基づく推定(若松・松岡の手法による目安)
- 東京都の地域危険度(町丁目単位): 東京都都市整備局「地震に関する地域危険度測定調査(第9回)」(令和4年9月公表)・CC BY 4.0
本レポートは公開データに基づく参考情報であり、安全の保証や投資・購入の助言ではありません。判定は地図画素・約250mメッシュ等の単位で行うため、 敷地の境界付近では隣接区分の値になる場合があります。最終確認は各自治体の最新ハザードマップ・窓口でお願いします。避難場所の指定・運用は変更されることがあります。



































































































