まもいえレポート サンプル
これは「まもいえレポート」の実物サンプルです

実在の地点(東京都墨田区押上一丁目1-2・東京スカイツリーのふもと)について、公式オープンデータから実際に取得した値で作成しています。 有料版では、あなたが調べたい住所でこのレポートをお作りします。

住まいの災害カルテ — 7つの災害を、公式データで深掘り
作成日: 2026-07-04
データ取得日: 2026-07-04
対象地点
東京都墨田区押上一丁目1-2 周辺(東京スカイツリーのふもと)
35.71008, 139.80861

地図: 国土地理院(淡色)。●が対象地点。各災害のレイヤー付き地図は該当章に掲載。

浸水深:0〜0.5m0.5〜3m3〜5m5〜10m10〜20m20m〜

地図: 国土地理院(地理院タイル 淡色)。●が対象地点。出典: 国土地理院・重ねるハザードマップ。 上のボタンで公式ハザードレイヤー(洪水/高潮/津波/土砂・想定最大規模)を切り替え、拡大・移動できます。印刷・PDFでは該当する災害の章にレイヤー付き地図が入ります。

総合判定

要警戒浸水想定区域・地震の高確率・高潮浸水想定・液状化の可能性が高い、の4項目に該当
洪水警戒浸水 0.5〜3.0m未満河川氾濫の想定最大規模
地震警戒30年で震度6弱以上 83.2%全国でも高い水準
土砂災害安心警戒区域の外急傾斜地・土石流・地すべり、すべて該当なし
津波安心区域の外津波浸水想定に該当なし
高潮警戒浸水 0.5〜3.0m未満台風時の高潮浸水想定区域内
液状化警戒可能性 高干拓地
まもいえの翻訳 — つまり、どういうこと?
この土地の主役リスクは水」と「揺れです。がけ崩れや津波の心配は要りませんが、大雨・台風で水が来る想定があり、地震は確率・揺れやすさとも注意すべき水準です。裏を返せば備え方がはっきりしている土地ともいえます——この後の章で、順番にご案内します。
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水害(洪水)— 深さ・引くまでの時間・家屋倒壊

公式ハザードレイヤー「洪水」(想定最大規模)。●が対象地点。

浸水深:0〜0.5m0.5〜3m3〜5m5〜10m10〜20m20m〜

出典: 国土地理院・重ねるハザードマップ。

想定される浸水の深さ0.5〜3.0m未満想定最大規模の降雨(1000年に1回程度)
水が引くまでの時間1日〜3日未満浸水継続時間(同上の想定)
家屋倒壊等氾濫想定区域区域外氾濫流・河岸侵食とも該当なし=家自体が流されるリスク区域ではない
計画規模(L1)
治水計画が目標にしている雨(おおむね数十年〜200年に1回程度)
この地点: 0.5〜3.0m未満
想定最大規模(L2)
考えうる最大級の雨(1000年に1回程度)
この地点: 0.5〜3.0m未満

雨の規模が変わっても、この地点の想定は同じ 0.5〜3.0m未満 です。2枚は同じ場所の別々の想定なので、色のつく範囲を見比べてみてください。

2枚とも同じ地点(●)・同じ縮尺で、判定に使ったものと同じ国土交通省の配信データです。※この地点1点の値で、同じ町内でも変わります。 データ取得: 2026年7月4日。出典: 国土地理院(淡色地図)・国土交通省「重ねるハザードマップ」。
計画規模でも浸水想定浸水 0.5〜3.0m未満治水計画の目標とする降雨(おおむね数十年〜200年に1回程度)でも浸水の想定があります=「1000年に1回」より現実的な頻度でも警戒が必要
内水氾濫(排水あふれ)データ未整備重ねるハザードマップへの掲載は全国62市町村のみ(2026年8月27日に掲載一覧を確認)。自治体の内水ハザードマップをご確認ください
まもいえの翻訳 — つまり、どういうこと?
浸水0.5〜3.0m未満は、大人の腰の高さから、深い場所では1階の天井近くまで水が来るという意味です。1階で寝ている間の浸水が、いちばん避けたい事態です。 一方で家屋倒壊等氾濫想定区域には該当しないため、頑丈な建物なら2階以上への「垂直避難」が現実的な選択肢になりますその場合のカギは「水が引くまで1日〜3日未満」を耐えられるか——その日数分の水・食料・簡易トイレ・電源が、この家の備えの基準になります。
参考:被害と保険料のバランス
想定被害額 1,119万円〜3,301万円 — 「年約2万円」と並べて考える
この地点は床上浸水(0.5〜3.0m未満の想定です。国の算定式(治水経済調査マニュアル)にこの浸水想定を当てはめると、 建物・家財・自動車をあわせた被害は 1,119万円3,301万円 の概算になります (内訳: 建物 664万円2,079万円/家財 289万円888万円/自動車 167万円333万円)。 幅があるのは、想定浸水深が50300cmと幅を持つためで、その下限と上限で計算しています。

一方、火災保険の水災補償の保険料は年2万円前後が目安です。ただし 「一度で3,301万円」と「年2万円」はそのままでは比べられませんそこで、浸水の規模ごとの被害額に発生確率を掛けて年あたりに直すと、この地点の水害リスクは11.2万円33.0万円 相当になります(計画規模の浸水想定もあるため、その分を含みます)年あたりに直した被害の期待値が、水災補償の保険料の目安(年2万円前後)を上回ります。保険料に対して割に合う側の地点です。あわせて家財の水災補償(建物とは別特約)の有無も確認してください。
前提: 延床面積 110㎡・1世帯・自動車1台あり/床の高さは地盤面から45cm(標準的な戸建て)と仮定/地盤勾配は微地形区分「干拓地」から勾配Aと推定/家屋の評価額は東京都の1㎡あたり319.3千円/浸水深は判定の想定(50〜300cm)の下限と上限で計算
国の公表資料の算定式に、この地点の浸水想定を当てはめた概算です。実際の被害額は建物の構造・築年・基礎の高さ・家財の実態・水の引き方によって大きく変わります。保険金額の決定や契約の判断には、保険会社・専門家にご相談ください。 年期待被害額は、浸水規模ごとの被害額に年超過確率(想定最大規模=1/1000、計画規模=1/100と仮定)を掛けた概算です。計画規模の確率は河川の整備状況によって1/200〜1/30と幅があり、実際の期待値はこの数値の0.5〜3倍程度に振れます。また保険は本来、期待値で得をするための商品ではなく、一度の損失で家計が壊れるのを防ぐためのものです。この数値は判断材料であり、保険の加入・非加入を推奨するものではありません。契約の判断は保険会社・ファイナンシャルプランナー等の専門家にご相談ください。

高潮 — 台風のときの海からの水

公式ハザードレイヤー「高潮」(想定最大規模)。●が対象地点。

浸水深:0〜0.5m0.5〜3m3〜5m5〜10m10〜20m20m〜

出典: 国土地理院・重ねるハザードマップ。

高潮の浸水想定0.5〜3.0m未満想定最大規模の台風・高潮浸水想定区域内
まもいえの翻訳 — つまり、どういうこと?
大雨の川の氾濫だけでなく、台風の気圧と風で海面が持ち上がる「高潮」でも0.5〜3.0m未満の浸水が想定されています。 つまりこの土地の水害は「大雨」と「台風」の両方で起こりえます。台風接近時は、川の水位だけでなく潮位と満潮時刻にも注意してください。 高潮は進路予報で数日前から警戒できるので、早めに動けば防げるのが救いです。

地震 — 揺れの確率と地盤の増幅

30年以内・震度5強以上99.7%生活圏で一度は経験する前提で
30年以内・震度6弱以上83.2%全国でも高い水準
30年以内・震度6強以上31.5%倒壊被害が広がりうる揺れ
地盤の揺れやすさ増幅率 2.28倍AVS30=152m/s。軟らかい地盤で、硬い地盤より揺れが増幅されやすい
この地点に影響の大きい地震(もし起きたら、の想定)
影響が最も大きい地震南海トラフ沿いで発生する大地震 → 震度5強規模 Mw8.2〜9.1・30年以内の発生確率 77.8%(計測震度5.1)
揺れが最も強くなる地震相模トラフ沿いのM8クラスの地震 → 震度6強規模 Mw7.9〜8.6・30年以内の発生確率 0.9%(計測震度6.2)

出典: 防災科学技術研究所 J-SHIS「メッシュ別被害地震検索」(2024年版・平均ケース)。 上の「30年以内に震度◯以上」はすべての地震を足し合わせた地点の確率で、この表は個々の地震(活断層・南海トラフ等の海溝型)が起きた場合のシナリオです。 発生確率が小さくても、起きたときの揺れは表のとおりになります。

まもいえの翻訳 — つまり、どういうこと?
震度6弱は「立っていられず、耐震性の低い建物では倒壊もありうる」揺れです。その確率が30年で83.2%——住んでいる間に一度は起こる前提で考えるのが現実的です。さらにこの土地は地盤が軟らかく、同じ地震でも周辺の硬い地盤より揺れが大きくなりやすい特性があります。建物の耐震性(新耐震基準か、耐震等級)と家具の固定が、そのまま命を守る備えになります。
東京都の地域危険度(押上1丁目・町丁目単位)
建物倒壊危険度ランク3/5揺れによる建物被害の起こりやすさ(地域の建物・地盤特性)
火災危険度ランク2/5地震火災の出火・延焼の危険性
総合危険度ランク2/5都内5,192町丁目中 2072位(危険度が高い順)

出典: 東京都都市整備局「地震に関する地域危険度測定調査(第9回)」(令和4年9月公表)・CC BY 4.0。国の250mメッシュより細かい、都独自の実調査(相対評価)です。

まもいえの翻訳 — つまり、どういうこと?
東京都の実調査(町丁目単位)では、押上1丁目の総合危険度はランク2(都内5,192町丁目中 2072位/危険度が高い順)で、都内では中位より安全側の評価です。 ただしこれは都内での相対比較であり、揺れの確率そのもの(前掲)が低いという意味ではありません。基本の備えは変わらず有効です。

液状化 — 地面そのものが揺れに弱いか

液状化の可能性微地形区分「干拓地」からの推定。若松・松岡の手法による目安
まもいえの翻訳 — つまり、どういうこと?
液状化とは、地震の揺れで砂まじりの緩い地盤が液体のようにふるまう現象です。建物が傾く、水道・ガス管が壊れる、道路がうねる—— 揺れそのものより「その後の暮らし」に長く影響します。この土地は干拓地に分類され、可能性は。 特に戸建てを検討する場合は地盤調査報告書と液状化対策(杭・地盤改良)の有無を必ず確認してください。 なお液状化の損害は火災保険では対象外で、地震保険でのみ補償されます。

土砂災害・津波

土砂災害警戒区域区域外急傾斜地の崩壊・土石流・地すべり、3種類すべて確認して該当なし
津波の浸水想定区域外津波浸水想定区域に該当なし
まもいえの翻訳 — つまり、どういうこと?
「該当なし」も、確認したからこそ言える大事な情報です。この土地では、がけ崩れと津波は主要リスクから外して、ほかの備えに集中させて大丈夫です。

土地の生い立ちと標高 — リスクの「根っこ」

微地形区分干拓地国の地盤データ(表層地盤)による土地の分類
標高0.8m国土地理院 標高データ(1mメッシュ・航空レーザ測量)
まもいえの翻訳 — つまり、どういうこと?
この章が、レポート全体の「なぜ」に答えます。ここはもともと水辺・低地だった土地(干拓地・標高0.8m)—— だから水が来やすく(洪水・高潮)、地盤が軟らかい(揺れの増幅・液状化)。バラバラに見えた警戒項目は、実はぜんぶ干拓地という土地の生い立ち」ひとつにつながっています。 土地の性格を知れば、備えの優先順位は自然に決まります。
周囲との高低差 — 水はどこへ流れ、どこへ逃げられるか
  • この地点の標高は0.8mです。半径500m以内の土地は-2〜5.8mの範囲にあり、最も低いのは北東の方向——水はそちらへ流れます。
  • この地点より5m高い土地は、西へ2,740m(徒歩およそ34分)が最寄りです。現地に立っても分からない情報ですが、徒歩で逃げられるかはここで決まります。
  • 半径3kmまで見ると、この地点より10m以上高い方向はひとつもありません(標高-2.8〜14.9m)。どの方向にも高い土地がないため、水は溜まらず広がります。ただし近くに逃げ込める高台もない、ということでもあります。

出典: 国土地理院 数値標高モデル(5mメッシュ)

この土地は、昔なにがあったか
1936〜1942年頃
1945〜1950年
1961〜1969年
現在

同じ地点の空中写真を年代順に並べたものです(出典: 国土地理院タイル)。丸印はすべての写真で同じ地点を指しています。

  • 黒っぽく蛇行した帯は旧河道です。地盤がやわらかく、液状化が起きやすいことがあります。
  • 小さな長方形が規則正しく並んでいるのは水田です。低く水を集めやすい土地を、あとから埋めて宅地にしています。
  • あとの年代の写真にだけ直線的な海岸線が現れる場合、その一帯は埋立地です。
  • 周囲が先に市街化していてこの区画だけ遅れている場合、そこは建てにくい土地だった可能性があります。

避難 — 「逃げ込む場所」と「生活する場所」

123123地理院タイル
対象地点① 逃げ込む場所(洪水対応)② 生活する場所(指定避難所)破線=徒歩の目安(80m/分)
① 指定緊急避難場所 — 洪水から命を守るために逃げ込む場所
1浅草小学校東京都台東区花川戸1-14-15約929m・徒歩約12
2田原小学校東京都台東区雷門1-5-14約1.4km・徒歩約18
3千束小学校東京都台東区浅草4-24-11約1.7km・徒歩約21

洪水に対応する指定緊急避難場所(国土地理院データ・対応災害: 洪水・高潮・内水)。距離は直線・徒歩80m/分の目安。自治体独自の指定が未収載の場合があるため、墨田区の避難所一覧でも必ずご確認ください。

② 指定避難所 — 住まいが被害を受けたあとに生活する場所
1横川小学校東京都墨田区東駒形4-18-4約383m・徒歩約5
2業平小学校東京都墨田区業平2-4-8約474m・徒歩約6
3小梅小学校東京都墨田区向島2-4-10約544m・徒歩約7

出典: 国土地理院「指定避難所データ」。住まいで暮らせなくなったときに滞在する施設で、洪水時に開設されるとは限りません。距離は直線・徒歩80m/分の目安。

まもいえの翻訳 — つまり、どういうこと?
①(逃げ込む場所)と②(生活する場所)は別の指定です。同じ施設のことも、違うこともあります。 ①に他自治体の施設が並ぶのは、墨田区が独自に指定する避難所が国のデータに未収載の場合があるためです。 実際にはより近い墨田区内の避難所が開設されることがあるため、必ず墨田区の避難所一覧・ハザードマップでご確認ください なお、①の避難所には「河川が氾濫するおそれがある場合は開設しない」という運用条件が付いています。 荒川など大河川の大規模水害では、自治体が「広域避難」(早めに区の外の親戚宅・ホテル等へ)を呼びかける地域です。 「近くの避難所に行けば大丈夫」が通用しないことがあるため、台風・大雨の見通しが立った早い段階で動くのが基本になります。

この家に住むなら — 備えの優先順位

1火災保険の「水災補償」を必ず付ける浸水0.5m以上の想定がある土地では最優先。この土地では補償を外さない一択です。水災補償の考え方へ
2地震保険を付帯する揺れ・液状化の両リスクに効く唯一の金銭的備え。液状化の損害は地震保険でのみ補償されます。保険の見直しガイドへ
3在宅避難の備え(数日分)水が引くまでの日数分の水・食料・簡易トイレを上階に。垂直避難がそのまま在宅避難になります。防災セットの選び方へ
4停電への備え(電源)水害・地震とも停電を伴いがち。スマホ・照明・情報収集の電源は生命線です。ポータブル電源の選び方へ
5家族の避難ルールを決める「大雨予報の時点で早めに動く」を家族で共有しておきます。家族会議のすすめ方へ
保険はいくらかかるか — 地震保険は公表料率から実額が出せる
  • 地震保険は国の制度なので、保険会社によって保険料が変わりません。都道府県と建物の構造だけで決まります。東京都の公表料率は、保険金額1,000万円・1年あたり、イ構造(鉄骨・鉄筋コンクリート等)で27,500円、ロ構造(主に木造)で41,100円です。
  • 地震保険の保険金額は火災保険金額の30〜50%と決まっています。上限の50%で見ると、この建物の地震保険金額はおよそ1,760万円。年間保険料は、鉄骨・RC造なら約48,400円、木造なら約72,300円になります。この建物がどちらかは、このレポートでは分かりません——売主への質問に入れてあります。
  • 家財は建物とは別契約で、上限1,000万円です。上限まで付けた場合の年間保険料は約27,500円〜41,100円(構造による)。この地点で特に効いてくるのは、液状化による建物被害を補償するのは地震保険だけだからです。
  • 昭和56年6月1日以降に新築された建物なら建築年割引(10%)が使え、建物の保険料は約43,600円〜65,100円まで下がります。耐震等級を取得していれば10/30/50%、免震建築物なら50%の割引もあります。これらは自動では適用されず、証明書を出して申告するものです
  • 一方、火災保険の水災補償には公表料率がありません。各社が独自に決めており、建物の条件でも変わるため、この金額は計算では出せません。目安は年2万円前後——桁として受け取り、実額は見積もりを取ってください。

出典: 財務省「地震保険の基本料率(令和4年10月1日以降保険始期の地震保険契約)」。地震保険料は財務省が公表する基本料率に、この建物の評価額から算出した保険金額を当てはめた概算です。実際の保険料は保険金額の設定・契約期間・割引の適用状況によって変わります。加入・非加入を推奨するものではなく、契約の判断は保険会社・ファイナンシャルプランナー等の専門家にご相談ください。

内見・購入前チェック(この物件で聞くこと・見ること)

  1. 重要事項説明で水害ハザードマップの説明(2020年から義務化)を受け、内容がこのレポートと一致するか確認する
  2. 基礎の高さ・かさ上げの有無を見る(浸水の想定がある土地では床の高さがそのまま被害の差になる)
  3. 電気設備・給湯器・室外機の設置位置(地面置きか、高い位置か)を確認する
  4. 役所(墨田区)で過去の浸水履歴・災害履歴を確認する
  5. 地盤調査報告書の開示を求める(戸建て・注文住宅なら必須)
  6. 液状化対策(杭基礎・地盤改良)の有無と内容を確認する
  7. 建物が新耐震基準(1981年以降)か、できれば耐震等級を確認する
  8. 火災保険(水災あり)+地震保険の見積りを購入判断の前に取る
  9. マンションなら電気室・受水槽の位置(地下だと浸水時に長期停電・断水のおそれ)と管理組合の防災計画を確認する
  10. 避難経路を実際に歩く(夜・雨の日を想像しながら)

下の文面は、そのまま売主・仲介に送れるように書いてあります。この物件の判定に該当した項目だけを入れているので、 定型文ではなく「この物件について聞いている」ことが伝わります。各項目のあとに、なぜ聞くのかを添えています(送る文面には入りません)。

送る文面
お世話になっております。
東京都墨田区押上一丁目1-2 の物件購入を検討しており、災害リスクの観点から下記についてご確認をお願いしたく存じます。
1. 重要事項説明の際に、水防法に基づき市町村が作成した洪水浸水想定区域図(ハザードマップ)のご提示と、本物件の位置のご説明をお願いいたします。
2. 本物件の1階床面は、前面道路の路面からおよそ何cm高い位置にありますか。差し支えなければ実測値をお教えください。
3. 分電盤・給湯器・エアコン室外機・受変電設備の設置高さ(地盤面からの高さ)をお教えください。
4. 本物件および周辺で、過去に浸水の被害を受けた記録はありますか。ある場合は、発生年と浸水の程度(床上/床下、おおよその深さ)をお教えください。
5. 本物件は、浸水が引くまで1日〜3日未満を要すると想定されています。2階以上に、居室として使えるスペースと、水回り(トイレ等)はございますか。
6. 地盤調査報告書(スウェーデン式サウンディング試験またはボーリング調査)のご提示をお願いいたします。あわせて、杭基礎または地盤改良の有無と、実施している場合はその工法と施工年をお教えください。
7. 建築確認済証の交付日、および検査済証の有無をお教えください。耐震等級を取得している場合は、その等級もあわせてお教えください。
8. 本物件について、売主様が把握している災害・浸水・地盤沈下・擁壁の不具合などの事象がございましたら、お教えください。
お手数をおかけいたしますが、記録として残したいため、可能な範囲で書面またはメールでのご回答をいただけますと幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
それぞれ、なぜ聞くのか
  1. 2020年8月から、宅地建物取引業者にはハザードマップでの物件所在地の説明が義務づけられています。市町村が配布する地図そのものを見せてもらうのが正しい確認方法です。
  2. 想定浸水深は0.5〜3.0m未満です。床の高さがそのまま被害額の差になるうえ、火災保険の水災補償は「床上浸水または地盤面から45cm超」が支払要件になっていることが一般的です。
  3. これらが低い位置にあると、浸水深が浅くても復旧に時間と費用がかかります。設置し直せるかどうかも購入後の判断材料になります。
  4. ハザードマップは想定であって履歴ではありません。実際に起きたことは売主・近隣・自治体しか知らないので、直接聞く以外に方法がありません。
  5. 浸水が長引く地点では、逃げるだけでなく「引くまで在宅で過ごせるか」が問題になります。上階に生活機能があるかどうかで、備えの計画がまったく変わります。
  6. 液状化しやすい地盤では、建物が傾く被害が起こりえます。地盤調査報告書は新築時に作成されていることが多く、売主が保管しています。液状化による建物被害を補償するのは地震保険だけです。
  7. この地点は30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が83.2%と高い地域です。1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物が新耐震基準に適合しています。
  8. 売主には知っている不具合を告げる義務があります。書面で聞いておくこと自体が、後から問題が出たときの拠り所になります。

この物件の判定に該当した項目から作成しています。法的助言ではなく、売主にすべてへの回答義務があるわけでもありませんが、書面で聞いておくこと自体に意味があります。

この物件は、災害の軸ではどうか

災害の軸では、下の条件を満たせるかどうかで決まります
  • 浸水想定(0.5〜3.0m未満)があります。ただしこれは保険と備えと避難計画で扱える種類のリスクです。
  • 液状化の可能性が高い地盤です。建物の傾きや地下埋設物の被害が起きうる場所です。
  • 30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が83.2%と、全国的に見ても高い地域です。
進めるなら、これが満たされているかを確認してください
  • 火災保険に水災補償を付けられること。建物だけでなく家財の水災補償も別途必要です。
  • 2階以上があり、想定浸水深より高い場所に避難できること。平屋・1階部分だけの住戸では条件を満たしません。
  • 電気設備・給湯器・エアコン室外機が、想定浸水深より高い位置にあること(または上げられること)。
  • 水が引くまで1日〜3日未満かかる想定です。その日数を在宅で過ごせる備蓄(水・食料・携帯トイレ・電源)を2階以上に置けること。
  • 地盤調査報告書を受け取り、杭基礎や地盤改良の有無と内容を確認できること。液状化被害を補償するのは地震保険だけなので、その加入も前提になります。
  • 建物が1981年6月以降の新耐震基準を満たしていること。できれば耐震等級まで確認してください。

この判断は災害の軸だけのものです。価格の妥当性・立地の利便性・建物の状態(構造・築年・基礎の高さ・劣化)は、このレポートでは分かりません。それらは不動産会社・建築士・ホームインスペクションの領域です。

出典・このレポートの読み方

  • 浸水想定(想定最大規模/計画規模)・浸水継続時間・家屋倒壊等氾濫想定区域・土砂・津波・高潮・内水浸水想定(掲載自治体分): ハザードマップポータルサイト「重ねるハザードマップ」(国土交通省・国土地理院)。計画規模は国管理河川の統合版と都道府県管理河川のうち、深い想定を採用しています。
  • 地震発生確率・微地形区分・地盤増幅率: J-SHIS 地震ハザードステーション(防災科学技術研究所、確率論的地震動予測地図 2024年版)
  • 震源断層の名称・規模・発生確率と予測震度: J-SHIS「メッシュ別被害地震検索」(防災科学技術研究所、2024年版・平均ケース)
  • 時系列の空中写真: 国土地理院タイル(1936〜1942年頃/1945〜1950年/1961〜1969年/最新)。地理院タイル利用規約に従い出典明示のうえ利用
  • 地震保険の年間保険料: 財務省「地震保険の基本料率」(令和4年10月1日以降保険始期の契約に適用)。水災補償は各社独自で公表料率がないため、金額は算出していません
  • 想定被害額の概算: 国土交通省「治水経済調査マニュアル(案)」(令和2年4月改定)の算定式・浸水深別被害率、および別冊「各種資産評価単価及びデフレーター」(令和6年6月改正)の家屋・家庭用品評価額
  • 標高: 国土地理院 標高API/位置検索: 国土地理院 住所検索API
  • 指定緊急避難場所: 国土地理院「指定緊急避難場所データ」(市区町村の指定に基づく)
  • 液状化の可能性: 微地形区分に基づく推定(若松・松岡の手法による目安)
  • 東京都の地域危険度(町丁目単位): 東京都都市整備局「地震に関する地域危険度測定調査(第9回)」(令和4年9月公表)・CC BY 4.0

› 参照データの一覧(出典・公表年・粒度)を見る

本レポートは公開データに基づく参考情報であり、安全の保証や投資・購入の助言ではありません。判定は地図画素・約250mメッシュ等の単位で行うため、 敷地の境界付近では隣接区分の値になる場合があります。最終確認は各自治体の最新ハザードマップ・窓口でお願いします。避難場所の指定・運用は変更されることがあります。

まもいえ mamoie.comReport ID: SAMPLE-OSHIAGE-20260704
新章プレビュー(v2で追加予定)

時間の章 — そもそも、見てから動けるのか

ここから下は松山市役所付近を例にした見本です(上のサンプル本文とは別の地点)。 国土地理院「浸水ナビ」が公開している、周辺の堤防が壊れる想定219ぶんの時系列から、 「堤防が壊れてから、この地点で歩けなくなるまで何分か」と「水が届いた瞬間の深さ」を1本ずつ計算しました。 国は各想定を別々に公開していますが、1つの地点に集めて「留まれるのか・逃げられるのか」に翻訳した判定は出していません。ここがこの章の価値です。

A. 時間 — 何分あるか
堤防が壊れてから、歩けなくなるまで何分か●1点=堤防が壊れる場所(1つずつ別の想定・219本)。色=その堤防が壊れた場合に、◆判定地点が歩行限界(深さ50cm)に達するまでの時間歩行限界に達する 218 か所 ── 中央値 5時間33分 / 60分未満 15 か所(7%) / 最短 10分以内重信川石手川最短 10分以内◆ 判定地点破堤から歩行限界(50cm)までの時間0分30分60分90分120分150分180分以上60分=避難計画の実例35分×安全余裕届くが浅い(50cm未満)※ 判定は対象地点の1地点で行ったものです。周辺でも地形により変わります。※ 各破堤点は1つずつ別の想定で、同時に起きることを示すものではありません。※ 浸水には堤防が壊れる破堤のほか、川からの越水・溢水によるものを含みます(浸水ナビFAQ)。データ取得日: 2026-08-20(浸水ナビは想定の拡充が続くため、日付により本数が変わります)/判定地点: 松山市役所付近(33.8393, 132.7657)出典: 国土地理院「浸水ナビ」(浸水シミュレーションは河川管理者作成)・地理院タイル(淡色地図)/歩行限界0.5m=国土交通省 地下街等浸水時避難の限界条件/作成: まもいえ

218本の想定で歩行限界(深さ50cm)に達し、その中央値は5時間33分。ただし15本(7%)は60分未満で、最短は10分以内です(記録の最初が破堤10分後のため、これより早い可能性があります)。 河川別では重信川(152本・中央値5時間39分)、石手川(66本・中央値92分)。 「平均的には余裕がある」と「近い堤防なら数十分」が同時に成り立つ地点——だから避難の基準はどの川の情報を見るかで決めます。

B. 深さ — 届いた瞬間の「街の型」
水が届いた瞬間、どれくらいの深さか●1点=堤防が壊れる場所(1つずつ別の想定・219本)。色=その堤防が壊れた場合に、◆判定地点に水が届いた瞬間の深さ届いた時点で歩行限界(50cm)を超えている想定 … 172 か所(79%)=色が赤い想定では「水を見てから歩いて逃げる」が最初から成立しません重信川石手川◆ 判定地点届いた瞬間の深さ(体のスケールは目安。実際は流速や地面の状態で歩ける限界は変わります)〜10cm(くるぶし)10〜30cm(すね)30〜50cm(ひざ)50cm〜1m(歩行限界を超える)1m以上(腰より上)※ 判定は対象地点の1地点で行ったものです。周辺でも地形により変わります。※ 各破堤点は1つずつ別の想定で、同時に起きることを示すものではありません。※ 浸水には堤防が壊れる破堤のほか、川からの越水・溢水によるものを含みます(浸水ナビFAQ)。データ取得日: 2026-08-20(浸水ナビは想定の拡充が続くため、日付により本数が変わります)/判定地点: 松山市役所付近(33.8393, 132.7657)出典: 国土地理院「浸水ナビ」(浸水シミュレーションは河川管理者作成)・地理院タイル(淡色地図)/歩行限界0.5m=国土交通省 地下街等浸水時避難の限界条件/作成: まもいえ

届いた瞬間にすでに歩行限界(50cm)を超えている想定が172本(79%)。 この地点では「水を見てから歩いて逃げる」が最初から成立しない想定が大半です。つまり判断材料は窓の外の水位ではなく、川の水位や氾濫発生情報——見る場所を切り替える必要がある街の型です。 (同じ計算を岐阜市役所付近で行うと0%=正反対の型になります。街によって、時間との付き合い方が違います。)

計算方法: 各破堤点のハイドログラフ(浸水ナビ)から、深さ0.5mに達する時刻を線形補間で求めています(最初の標本で既に0.5m以上なら、その時刻)。 APIの要約フィールドは使わず時系列から直接導出。歩行限界0.5m=国土交通省「地下街等浸水時避難の限界条件」。60分の目安=避難計画の実例(35分)に安全余裕を見たもの。

C. 広がり — 10分・1時間・6時間
石手川1.4Km左岸破堤の想定で、破堤から10分・1時間・6時間の浸水の広がりを3枚の地図で並べた図。10分の面ですでに判定地点の周辺に色が届き、時間とともに面が広がる
Aの「最短 10分以内」は、この左端の面のことです。破堤10分の面で、破堤点より11m高い判定地点の側にもすでに色が届いています——水は11mの坂を登れないので、この浸水の主因は破堤点から流れてきた水ではなく、川からあふれた水(越水・溢水)です(標高は国土地理院の標高APIの実測値)。時間の章では、この時刻別の面を住所ごとに3コマでお付けします。
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